いい旅・夢Kiwi スカイキウィ
2007年
11月12日号
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ぽっかぽか通信
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20. トンガリロ国立公園 (1/3)

今までHPでも何度かご紹介してきたトンガリロ国立公園ですが、きちんと記事にしていませんでした。
ガイドを含めて何度訪れた場所か?ちょっと分からないくらい訪れている場所だけに、「何を書こうか?」と迷ってしまいますが、まずは手始めに、全体のご紹介をしていきたいと思います。


まずは全景から。
「いい旅・夢日記」にもご紹介した、11月5日見事に晴れた全体の景色です。
2枚合わせた写真ですので、少し色合いが異なり、つなぎ目が見えてしまうかもしれませんが・・(視力検査?)、いかがですか!

左の平たい山が、場所全域の名前と同じ、「トンガリロ山:標高1967m」
真ん中の、通称富士山!?が、「ナウルホエ山:標高2291m」
右側、雪をかぶった北島で一番高い山、活火山でもある「ルアペフ山:標高2797m」

この写真は、西側から東側に向かって眺めた景色です。西から東に移動する天気ですので、雲はこちら西斜面にぶつかり、雨を降らせるのはもっぱらこちら側となります。
そのため、反対側、東側の方は常に乾燥しており、そちらを通る幹線道路1号線は、「デザート(砂漠)ロード」とも呼ばれています。
周辺はニュージーランド陸軍の演習場にもなっています。
それに対して、こちら西側は年間降雨量も3,000mm。ハイキングにも適した場所でリクリエーションの中心地となっています。
その中心地が、ルアペフ山の中腹にある「ファカパパ・ビレッジ」。冬場はスキー客で賑わいます。

薄茶色のふさふさは、一年中このような色をしているため常に秋のようにも感じられますが、レッド・タソック(Red Tussock)と呼ばれる亜高山帯植物です。
日本でいえば、岩手県の釜石や遠野と同じくらいの緯度ですが、この写真の辺りでは冬でも雪が積もる事はありません。

それぞれの山をご紹介します。

ロトルア-タウポから南に向かって行くと、最初に出会うのがトンガリロ(Tongariro)山です。
手前に見えるのはロトアイラ湖です。

浅間山と同じように複合火山に分類されるトンガリロ山は、活発な噴火活動により常に山の形態が変化してきました。
少なくとも12個の火口からなり、お隣の山、ナウルホエ山も厳密にはトンガリロ山の一部になります。
最初の噴火は26万年前と推測され、1975年以来活動を休止しています。

中腹の右側、白い小さな固まりがあるのが分かりますか?これは雪でも雲でもなく、湯気です。
ちょっと山の上にひとっ飛びしてみましょう。
温泉から立ち上る湯気ですが、近くには、8時間でトンガリロを横断する代表的トレッキング・コースの終点であるケテタヒ小屋(Ketetahi Hut)があります。
のんびり温泉に浸かりたい気分になりますが、国立公園の中でもこの場所だけは、地元マオリ族の私有地になっていて許可無く一般の立ち入りは出来ません。

ケテタヒ小屋からロトアイラ-タウポに向かう景色です。
右手の小山はピハンガ山という火山になります。
上のトンガリロ山全景の写真は、この右手、ロトアイラ湖の左上の辺りからこちらを向いて撮影したものです。小さな緑の小島が目安になりますが、見つかりましたか?

この8時間のトレッキング・コースは、「トンガリロ・クロッシング」と呼ばれていますが、最高地点1886mのレッド・クレーターを超えていきます。


レッド・クレーターは1926年以来活動を休止しているとはいえ、地面は暖かく湯気も立ち上っています。

こんなすごい所を歩いていくんですよ!


レッド・クレーターを超えると、このコースのハイライト、エメラルド・レイクが見えてきます。
この下り斜面、うっかりすると滑って下まで大滑降になってしまいますので、写真も慎重に・・。これより下では撮る余裕が無かったと思われます・・。

さて、トンガリロの名前ですが、マオリの神話に由来しています。
先住民マオリの伝説によると、彼らは1千年から1千200年前に、南太平洋の故郷の島「ハワイキ」という所から、カヌーに乗って渡ってきたと言われています。

マオリの神官、ナトロイランギ(Ngatoroirangi)とその一行が自分達の領土を見渡すため、この山に登りました。
ロトルアを中心とする最大勢力、「テ・アラワ」族のカヌーの航海士であり神官がナトロイランギという人でした。
山頂にさしかかる頃、吹雪に見舞われ凍え死にそうになったナトロイランギは、ハワイキに住む妹たち(巫女さん)クイワイとハウンガロアに向かって火を求めて助けの声を送りました。
その声が『南風=トンガ』に乗って『運ばれていく=リロ』事により、神から力を与えられた巫女さんから火柱が海底を伝わってナトロイランギの元へと送られました。

その道すがら、ホワイト・アイランド(ファカタネ沖の活動中の火山島)、ロトルア・タラウェラ山、タウポ地域が次々と火山地帯へと変えられ、トンガリロ地域一帯も火山地帯へと変わり、ナトロイランギの体を暖めたとされています。

この伝説は、ロトルアに立ち上る湯気を煙と思いこみ、戦闘態勢でロトルアに乗り込んだと言われる、ロトルアの伝説と矛盾するところがあるのですが(つまり、地理的に内地にあるタウポ・トンガリロよりも先にロトルアに定住し、既にロトルアが地熱地帯と知っていたはずである)、そこは神話ですから・・・、つっこむところではないようです・・・!
この辺り、マオリの神話に詳しい方がいらしたら教えてくださいね。

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