いい旅・夢Kiwi スカイキウィ
2004年
9月6日号
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ぽっかぽか通信
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11. 「ピアノ」の海岸 (1/3)



映画「ピアノ・レッスン」をご存知ですか?原題は、「The Piano」。
私はこの映画をビデオで、NZに初めて来た年、1994年にクライストチャーチのホストファミリー宅で初めて見ました。ですから、邦題よりも、「ピアノ」という方がしっくり来ます。
1993年度オーストラリア映画。第66回アカデミーの主演女優賞・助演女優賞・脚本賞の3部門を獲得。監督・脚本はジェーン・カンピオン。女性ながらの視点で、昼メロ的な物語を、深みのある恋愛映画、今流行の、「純愛映画」に仕上げた逸品と言われる作品です。
独特の、暗い映像とともに、叙情的な音楽が忘れられません。
マイケル・ナイマンのこの曲を、映画を知らなくてもご存知の方は多いと思います。
音楽と一緒に、写真をご覧になってみてください。こちらから音楽を参照できます。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/nogunao/p-piano.html

音楽と、映像はとても心に残る物でしたが、正直、最初はどうもこの内容に納得できませんでした・・・。こうやってあらためて考え直してみると、確かに純愛物?女性の自立?とも言えると思いますが・・・。私の感想はともかくとして、一つ言える事は、ファミリー映画ではありません!
ですから、一般受けはしないと思います(-_-;;
誰も予備知識無しに、「NZロケでアカデミー受賞作」だからと、ホストファミリー達とわくわく見始めたこの映画。見終わった後、皆無言の中、ホストマザーがぼそっと、『Strange・・・』とつぶやいたのが今でも忘れられない思い出です(^^;;
(さすが、故淀川長治さんは見事にこの映画を褒め称えています。ご興味ある方はこちらをどうぞ。 http://www.sankei.co.jp/mov/yodogawa/940215ydg.html )

さて、この映画をなぜ取り上げるかと言うと、舞台もロケ地もNZ、映画の中で象徴的に映し出される海岸が、オークランド近郊の「カレカレ海岸(Karekare Beach)」だからです。
この海岸は、他にもドラマ、ミュージックビデオ、CM撮影、など何度も撮影に使われる有名な場所・観光地となっています。

物語は、スコットランドからニュージーランドに写真見合いで嫁いできた女性・Ada(アダ、またはエイダ)を中心に描かれます。その女性を演じるのがホリー・ハンター。
時代は19世紀半ば。キャプテン・クックがNZに初めて上陸したのが、1769年、ワイタンギ条約でイギリスの植民地となったのが1840年の事ですから、まさにNZに白人(パケハ)が移住してきた時代の話。当時のマオリ族の様子や、イギリス人達ヨーロピアンが、どのように異国の地に足を踏み入れて来たかを窺い知る事が出来る興味深さがあります。
ホリー・ハンターの再婚相手を演じるNZ人俳優のサム・ニールは、土地買人の役。映画の中でも、銃を与えて土地を得るというシーンがありましたが、羊歯(シダ)の生い茂る大自然の中、うっそうとした森林の様子が、暗い映像とともに、そういった人間のどろどろとした「欲」という物も表現していたのではないかと思います。
娘役(連れ子です)を演じるのが、アンナ・パキンというNZ人の女優さんです。この映画の頃はまだほんの子供でしたが、その後、「Fly away home」でだんだんと大人になり、「X-MEN」「X-MEN2」では、すっかり別人のように成長してしまいました!


エイダが一台のピアノと娘と共に上陸したのが、このカレカレ・ビーチです。
重すぎるからと、海岸にポツンと取り残されたピアノ。そして、その海岸でピアノを演奏するエイダと娘。その姿に惹かれる男。
前半部分で描かれるそのシーンの美しさは、映画の内容を超えて、いつまでも心に残る名シーンの一つです。

訪れたこの日は、ご覧のように映画とは打って変わった見事な快晴の夕暮れ前でした。
冒頭の写真はこの写真と反対方向、逆光のために霞んでしまいました。
景色を眺めるのには、晴れの日が最高なのですが、この場所だけはもう少し悪い天気でも良かったなぁと、贅沢な事を思ってしまいました!

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