28. アグロドームと「羊の毛刈り」 (2/2)
さて・・・、やっと核心に入ります!1970年大阪万博のニュージーランド館にゴッドフリーはやってきました。
毛刈り職人・教官としての才能だけではなく、「文化大使」たるその人柄から、文字通り「世界のゴッドフリー」として世界中で愛される存在になっています。

当時のアメリカ人なら、知らない人は誰もいないという程の人気番組、NBCの看板番組、「ジョニー・カーソン・トゥナイト・ショー」にも出演し、毛刈りの様子も全米に放映されました。
大阪万博にて、数種の羊の毛刈りをデモンストレーションし、飼育された羊を展示しましたが、これが世界中の人に歓迎され、ゴッドフリーはニュージーランド観光賞を受賞しました。
そう、ここで彼は思い当たる訳です。
「これをショーとして行ったら面白いな!」
そして、1971年アグロドームが誕生しました。
ロトルアから10km離れた80ヘクタールの場所で、地元の牧場主 George Harford (ジョージ・ハーフォード)とテーマ・パークを設立し「ニュージーランド・ファーム」として公開しました。
ジョージはロトルアの南に位置する小さな町、リペロア出身の肉牛・牧場主です。
ゴッドフリーの毛刈りの才能、そしてジョージの牧場の知識に、ニュージーランド流の地方文化が加味される事により、「世界唯一のシープショー(羊の毛刈りショー)」がここに生まれた訳です。
ゴッドフリーの兄、5回の毛刈り世界チャンピオンに輝くアイバンも1972年に主任ショー・マンとして加わりました。
1980年、火災によりドーム会場は全焼し、ショーは危機に見舞われます。
しかし、アイバンは近くの丘で100人の観光客を前に、煙くすぶる会場焼け跡を背景にして、ショーを続けました。
‘The show must go on and we are open every day of the year.’ (ショーは続けなくてはなりません、そして公演は毎日行います。)

1983年、ゴッドフリーとジョージの息子達、Paul Bowen (ポール・ボウエン)と Warren Harford (ウォーレン・ハーフォード)へと代が替わりました。
ポールは運営面での責任者、ウォーレンは営業面での責任者という役割で、事業をさらに拡大させていきます。

きっかけが大阪万博ですから、日本とアグロドームの友好関係はずっと続いています。
いくつかのテーマ・パークにて、羊の毛刈りを行ったり、羊や牧羊犬の導入を手伝うなど日本の牧場ビジネスにも関わっていますが、全面的に協力したのがここ、千葉県マザー牧場の東京アグロドームです。

ニュージーランドの木材でドーム会場を作り、ステージの背景を透明張りの構造にして、牧場を客席に座りながら眺められるようにしています。
1,600人収容のすり鉢状の客席は、本場ロトルアの会場より見やすく出来ているかもしれません!

10年程前に撮った東京アグロドームの写真をスキャンしましたので、ご紹介します。
まずは、その会場写真です。

建物全体です。
水色の壁の部分が、ステージ裏の透明張り構造です。
反対、入り口側の看板を、両脇に張り付けました。

ステージ裏の牧場では、「ショーの主役達」、19種類の羊が草をのんびり食んでいます。
ニュージーランド人のショー・マンによる、約30分のショーが、1日2回(時期によって3回)行われているようです。
これからの連休中、遊びに出かけられてはいかがでしょうか?
アグロドーム(英語)のサイトは http://www.agrodome.co.nz
マザー牧場(日本語)のサイトは http://www.motherfarm.co.jp
ご興味のある方はご参照ください。
今回は、アグロドームの会社紹介というような内容になりました。

次回は、シープショーの内容について、ご紹介いたします。
お楽しみに



