いい旅・夢Kiwi スカイキウィ
2009年
4月5日号
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ぽっかぽか通信
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36. ヘイリー・日本曲集(2/2)


こちらは、先月、3月11日に発売された第2弾、「絆」です。

今回はアルバム・コンセプトを明確に決め、アルバム名の通り「絆」、特に母と子の「愛の絆」をテーマに選曲されているところが特徴になります。

前作から9ヶ月、少し早い気もしますが、いろいろな可能性を模索しながら作られたアルバムという意気込みが感じられます。


このアルバムもHMVで予約注文して実家に配送された後、他の荷物と一緒にこちらに送って貰いました。

全曲すぐに元歌が分かった前作と違い、個人的にですが、今回のアルバムには知らない曲が数曲ありました。
ヘイリーの方が、ニュージーランドに住む日本人より、日本の事情に詳しくなったという事なんでしょうか・・・!?

中でも、美智子皇后陛下御作詞「ねむの木の子守歌」という歌は、全く知りませんでした。
美智子皇后陛下が高校時代にプライベートでお書きになったものだそうで、作曲は山本直純夫人の山本正美。
ペギー葉山がNHKの番組で披露して以降、日本の子守歌の代表曲として親しまれているそうです。

アルバムの1曲目は、コブクロの「蕾」。
オリジナルと同じ、「チェレスタ」という銀盤楽器の一種だそうですが、可愛らしい前奏で始まります。
聞き始めて、前作にあったような「衝撃的」な印象は感じられませんでした。
これは、人それぞれで変わるでしょうが、自分としてはコブクロの歌があまりに良すぎるので、ヘイリーの歌として感じられなかったせいかもしれません。
この辺り、カヴァー曲が上手く行くかどうかの分かれ道なのかもしれませんね?


2曲目、「三日月」は前作と同じ絢香の代表曲。
そして3曲目、「未来へ」はKiroroの代表曲です。

あれ?っと思った印象はずっと続いてしまいます。
まだ聞き始めてそんなに時間が経っていないせいかな?と思いましたが、最初に通して聞いた印象は、前作と大きく違いました。

何故だろう?とじっくり考えてみました。
もちろん、あくまで私の個人的主観ですけども。

なんだか英語の歌詞がメロディーにしっくり「はまって」いないように感じられます。
特に、「秋桜」は、さだまさしの日本語の世界ですから、英語にしてしまうと音的にも無理があるような気がします。
ただ、ニュージーランド人が聞けば、ごく普通に受け入れられる歌になっていると思います。
こちらで普段かかっている歌と、違和感がありません。
そういう意味では、英語の勉強になるかもしれません。

続く「童神」も、ご本家、古謝美佐子や、年齢は若くても母性を感じさせる夏川りみの歌と比べてしまうと、「まだ早い」という感じ・・・。

ヘイリー自身が一番のお気に入りという「ママに捧げる詩(Mother of Mine)」。
オリジナルが英語ですので、ごく自然に聞き入る事が出来ました。
日本では1971年、ニール・リードという少年がボーイ・ソプラノで歌ったシングル盤が発売され、1972年にジミー・オズモンド、由紀さおり、南沙織などがカヴァー盤をリリースし、大ヒットしたそうです。

そんな中で、素直に「いいなー♪」と感じる曲が「いつも何度でも」でした。これは「千と千尋の神隠し」の主題曲です。
以前のアルバムに入っていた「モーツァルトの子守歌」を聞いた時のように、きらきら輝く草原で戯れる妖精の様子を見ながら木陰でうとうとしているといった気持ち良さ。
なんだか天国にでもいるような幻想的なイメージを感じさせてくれます。
ヘイリーには、こういう雰囲気が一番合っているような気がします。

「フラワー」、KinKi Kidsの歌と書いてあっても、まったく分かりませんでしたが、始まるとすぐに聞き覚えのある曲でした。
これも自然で良かったです。
ただ、私の姪っ子は「KinKiの方が良い!」と言うかもしれません・・・!?

最後の曲、「ねむの木の子守歌」ですが、全部日本語で歌われています。
聞いてびっくりしたのは、前作と比べて日本語がとても上手になっている事です。
そのまま、日本人のソプラノ歌手が歌っていると言っても、通じると思います。
逆に日本人が歌うと、表現がもう少しきつくなってしまうかもしれません。
ピアノとのデュオで、ヘイリーの優しい歌声が柔らかく心を包み込んでくれます。
このアルバムで一番印象に残る曲です。

それにしても、ヘイリー、まだ22歳のニュージーランド人ですからね・・・。
もしかしたら、皇室御用達歌手になるかもしれません!
恐ろしい才能です。



今日、これを書くために、何度か繰り返してCDをかけていますが、聞いている内にじわじわと印象が良くなっていきます。
アレンジも前作より洗練され、演奏がとても心地良く聞こえます。
そして、何度聞いても、ストレートに心に染み入る歌声は、このアルバムでも変わりません。

才能と言えば、上記の収録曲をもう一度ご覧ください。
英語詞のほとんどは、前作と違ってヘイリーが一人で手がけています。
今回ももちろん、アレンジに加わっています。
前作から一年経たずにリリースされた今回のアルバムです。
「絆」というテーマの設定、それに基づく選曲、英語訳、アレンジ、そして日本語の発音、ものすごい成長ぶりです。

多少、英語の調子が歌に合わないと感じられた事も、彼女の経験から考えると小さな事に思えてきます。
もともと、原曲が日本語の語感を大切にした歌で、そういう歌を集めた訳ですから、「挑戦」という意味でも限りない可能性を感じさせてくれます。

まだまだ成長中。
これから、ますます日本とニュージーランドの架け橋として、大きな存在となっていく事でしょう。

過去のアルバムも良いですが、この2枚は是非「日本人として」も持っておきたい、そんなアルバムです。

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